先月28年間の現役生活を引退したイチロー氏が、政府による“3度目”の国民栄誉賞の打診を辞退したことが分かりました。

 

イチロー氏が日本人野球選手として残してきた功績は計り知れず、国民栄誉賞の受賞は誰もが納得することですが、イチロー氏本人はそれを貰うことを拒否しました。

 

栄誉ある賞で誰もが貰えるわけではなく、貰えるのであれば喜んで貰いたい思うはずですが、それを辞退した理由が非常に気になりますね。
明らかにされていませんが、世間では一部で「政治利用を回避した」とか「結果的に政治利用されずに済んだ」など、なぜか“政治利用”という言葉が上がっていました。

 

一方で「政治利用云々言ってる奴らが不愉快」「なぜ政治利用と結びつくのか謎」「脳外科行け」など、政治利用と考える人に不快感を示す声も上がっていました。

 

そもそもなぜ、国民栄誉賞の打診が政治利用と結びつけられているのか。その理由について調べてみました。

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国民栄誉賞とは?

 

内閣府の公式サイトには「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を讃えることを目的とする」賞と書かれており、総理大臣が代表して対象の個人または団体に贈られます。

 

王貞治さんや美空ひばりさん、吉田沙保里さん、なでしこジャパンなど、この賞は過去に27人と1団体が受賞しています。

 

受賞者は賞状と盾、さらに「記念品又は金一封」がもらえると言います。記念品とは、例えば吉田沙保里さんの場合は真珠のネックレスで、なでしこジャパンには熊野筆の化粧筆が贈呈されたそうです。(本人が希望した品かどうかは不明)

 

ただ、国民栄誉賞を受賞できる明確な基準は特にはなく、その時の内閣が「受賞にふさわしい」と判断した場合に授与されるとのことです。

なぜ“政治利用”と言われるのか?

国民栄誉賞には受賞の基準はなく、授与する時期も決まっていません。つまり「いつ、誰に授与するかは政府が自由に決められる」ということになります。“政治利用だ”と言われてしまう根本的な理由はここにあると言えます。

 

イチローさんが国民栄誉賞の受賞に値することは誰もが認めることかと思いますが、一方で誰もが受賞にふさわしいと思う人物が受賞していないケースもあります。例えば石原裕次郎さんや高倉健さん、村上春樹さん、桂歌丸さん、三浦知良(キングカズ)さんなど…。

 

そして、これらの人物が受賞していないのに、松井秀喜さんや井山裕太さん(囲碁棋士)が受賞していることを疑問視する声も上がっているのです。

 

さらに、美空ひばりさんや黒澤明さん、長谷川町子さんなど亡くなってから受賞する著名人もいて「なぜ生きているときに授与しないのか?」という疑問から「政府の都合で受賞が行われているのでは?」と疑われるようになりました。
受賞の基準が曖昧で、時期も決まっていない為、これが「支持率が落ちて来たり、疑惑や不正などで揺れている時に、世間の目を逸らすために著名人が利用されているのでは?」と言われてしまうようになったのです。

 

政府が都合の悪いことから目を逸らすためにハッピーなニュースを作って和らげているという疑惑ですね。

しかし、いつ頃からめでたいハッピーなニュースが“政治利用”なんて冷や水をかけられるようになってしまったのでしょうか。

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なでしこジャパンの受賞から始まった?

私が遡って調べてみたところ、国民栄誉賞が“政治利用”と揶揄され始めたのは2011年にW杯でアメリカを破って優勝した「なでしこジャパン」に国民栄誉賞が贈られたことだと考えられます。

 

なでしこジャパンが異例の団体での受賞が検討されているとき、事務所は「たった一回の優勝で国民栄誉賞なんて…」と謙遜して断りムードだったそうですが、当時の菅直人首相をはじめとする政府が押し切ったのだといます。

 

事務方では「1回優勝しただけのなでしこに国民栄誉賞を贈っていいのか」との声が上がり、総理大臣顕彰を提案したという。

慎重な事務方を押し切ったのは政治家の方だった。

事務方と官邸のせめぎ合いの中で一時、浮上した幻の案もあった。「主将の沢穂希選手だけ国民栄誉賞。残りの選手・スタッフは総理大臣顕彰」との案だ。

引用:日本経済新聞 幻の「沢・単独受賞」 官邸主導のなでしこ国民栄誉賞

 

幻の「澤穂希・単独受賞案」も浮上していたとのことで、政府のどうしても何かしらの賞を授与したかったという気持ちが汲み取れます。

 

更に、国民栄誉賞の“政治利用”を決定づけるような政府関係者からの発言もあったようです。

政府関係者は「国民栄誉賞は贈られる側の賞ではなく、贈る側の賞だ」と語る。過去の授賞を見ても「同じ贈るなら、知名度が高い国民栄誉賞」という傾向が政治家にはある。

「結局、時の政権が『国民栄誉賞を出したい』と言えば出さざるを得ない」。異例の団体表彰について内閣府の官僚はこう漏らす。

 

これが真実であれば、少なくとも当時の菅内閣での国民栄誉賞の授与が政治的な目的のために行われいたというのは、限りなく黒に近いグレーになります。

マツコ・デラックスも批判!?

 

タレントの中では非常に発言力と支持があるマツコ・デラックスさんも、2018年3月に出演した昼の情報番組『バイキング』で羽生結弦選手の国民栄誉賞を「安倍さんのスポーツの政治利用は度が過ぎている」と批判しました。

 

羽生君がもらう、もらわないのとは、まったく関係ない話よ。それはおめでたい話だけど、私が若かった頃に比べると、ちょっと国民栄誉賞の価値は下がったかなっていうのは、すごく感じる。

とくに安倍さんは大好きだから、あげるの。ちょっと価値を下げちゃってない? 羽生君だから、伊調(馨)さんだからとか言ってるんじゃないよ。数が多すぎやしませんかっていうのは、前々から思っておりました

 

まず、羽生選手の国民栄誉賞の受賞がおめでたい話であるということを前置きしたうえで、「最近乱発しすぎ」と昔に比べて賞の価値が下がってしまっているという意見を述べました。実際、27人の受賞者のうち7人が安倍政権になってから受賞されたものだそうです。

 

また、マツコさんは安倍首相がスポーツを政治利用しているという疑いの目を向けているそうです。

「今回、メダル獲った後の電話を、安倍さんのところにもカメラが入って、っていうのが何回かあったじゃない? あまりにも嬉しくて、思わず『ちょっと“おめでとう”言いたいから電話してくれ』って言ってならいいと思うんだけど、カメラ入ってるってことは、もう、『金を獲ったときには中継つなぐぞ』なわけじゃん? それはちょっと国民栄誉賞だけじゃなくて、スポーツの政治利用が過ぎてはないかなというのは感じるよね」

 

羽生選手と小平奈緒選手が金メダルを獲得した際の“電話での祝福中継パフォーマンス”が「人気取り行為だ!」だと非難されたこともありました。

 

もう一つ、マスコミが国民栄誉賞を“政治利用”だと疑うようになった出来事がありました。

それは「森友文章書き換えの疑い」という財務省による不正問題が朝日新聞の一面で報じられた同じ日に、羽生選手の国民栄誉賞受賞の記事が読売新聞の一面で大々的に報じられ、しかもそれが「(羽生選手の受賞について)今すぐではなく、さまざまな要素を考えていく必要がある」と菅官房長官が会見で述べて間もなくの出来事だったことです。

 

明らかに官邸のリークで読売の記事が作成され、政府の不正問題を相殺するかのように同じ日に報じられるという露骨なやり方に、さすがに“政治利用”を勘付く人も一定数いたようです。

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イチローが辞退した理由は?

 

しかしながら、イチローさんが国民栄誉賞の辞退した理由が「“政治利用”されることが気に食わないから」であるかといえば、そうとは限りません。

 

そもそもイチローさんが賞と政治を絡めて考えるとは考え難く、自身の美学に則って判断したとのではないでしょうか?

 

辞退した明確な理由は明らかになっていませんが、栄誉ある賞を拒否したその“美学”が知りたいですよね。サッカーの本田圭佑選手が「自分は凡人だから」と言うように、イチローさんも自身が祭り上げられるような崇高な人間ではないと感じているのでしょうか。。

 

偉大な人物ほど謙虚であると言われますが、まさにイチローさんのことかもしれませんね。

まとめ

政府関係者が「国民栄誉賞は、受賞される側のものではなく、する側のもの」と証言しているように、政府にとって真の目的が別にあることはもしかしたら事実かもしれません。

 

しかし、イチローさんが受賞を辞退した理由は、政治利用されるのを忌避してのことではなく自身の“美学”に従っての事えだる可能性が高いとのことでした。

 

今後受賞される方が出てきたときにまた「政治利用だ!」と祝福に水を差すことがないよう、この議論はこれ以上加熱するべきではないものですね。

 

イチローさんの生き様を讃えて終わるとしましょう。

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